2013年5月9日木曜日

桑港(サンフランシスコ)丸。

昨日はテスト前の準備で授業がなかったので、ついに50メートル超の水深に鎮座する「サンフランシスコ丸」に潜ってきました。(写真等は後半にありますので、最初の文字はいらなかったら読み飛ばしてください)

赴任してからいつかはサンフランシスコ丸に…ともはや憧れに近いものを持っていたこの沈船。この沈船は何で有名かというと、その深度もさることながら甲板上に今も原型をとどめて残る戦車(95式?)ですね。しかも三台もの戦車がならぶすぐ傍にはトラックも眠っているとのこと。あと、自分が使っているダイブショップのイントラが一番好きなのは意外にも戦車やトラックはそっちのけで船首にある大砲だとのこと。
なんてことを聞いていたらこの二年間ずっとこのサンフランシスコ丸が気になって気になってしかたなかった訳です。しかしながら水深50メートル超で超上級者向きのこのポイントはなかなか潜る機会に恵まれず。あきらめようかと思っていた矢先に「もう日本に帰らなきゃいけないからどうしても行きたい」との旨をダイブショップに伝えるとまさかの急速でアレンジをしてくれたのです。

結果を先に言わせてもらうと、今回のダイビング。チュークに赴任して一番の素晴らしさでした。今まで「最初の感動が全てだろうな…最初に潜った時の富士川丸の衝撃を超えるものなんてないだろう…」なんて思っていたんです。ここにくるまでは日本の沖縄と海外に出た時にちょろっと潜っていただけの私にとってここチュークに眠る沈船の数々は毎回感動に値するものだったし、いままで退屈なダイビングというものは一度もなかったんです。でも、今回のそれは今までのものと全く別なるものでした。

前置きが長くなりましたが写真を交えながらサンフランシスコ丸を見ていきましょう。(初めてのポイントで緊張&心に余裕がなかったので写真はいまいちですいません…)

まず、何に感動したかというとこれです。他の沈船は20−30メートルあたりにあるのでエントリーの瞬間、あるいはポイントや海況次第では船上からでもその姿が分かるのですが、ここサンフランシスコは水深10−20メートルあたりまで潜行したところでぼんやりと姿を現します。そして、目に飛び込んできたサンフランシスコ丸の姿を見て鳥肌が立ちました。

見えますか?


写真のど真ん中あたり、ちょっと拡大してみます。


そう、マダラトビエイちゃん。しかも三匹も悠々と泳いでいるんです。(写真に入ったのは二匹のみ)
いかんせん水深があるため写真では青みがかかりまくっているのですが、実際にはもっと黒みを帯びていてその背中のスポットが美しく、巨大な沈船とのコントラストが幻想的でそれはそれは特別な空間でした。私たちが着底したときにはもう去ってしまったのですがそのマダラトビエイちゃんたちの去っていった先にはこれまた海の人気者がこちらをぼーっと見つめていたのです。


言わずと知れた超有名魚、ナポレオンちゃん。ナポレオンちゃんの下にあるのは戦車です。実は沈船ポイントでは(そもそもチュークではダイビング中に)マダラトビエイちゃんもナポレオンちゃんもあんまり見ないのでレアなんですな。

ちなみに、10メートルの水深では2気圧、30メートルの水深では4気圧、50メートルの水深では6気圧です。つまり、同じサイズのタンクを背負っていったとしたら、30メートルの水深では10メートルのところで吸える量の半分、50メートルの水深では三分の一しか吸えません。また、窒素の問題もあるので減圧症を予防するためにはこの50メートルの水深で過ごせる時間は12分間(もしくはエアーが半分を切るまで)というものすごく限られた時間しかないため、ナポレオンちゃんをおっかけて写真をとったりとかは出来ません。つまり、お魚さんたちの写真が遠くからの撮影になっちゃっているのにも意味があるのでございます。

エイじゃ!ナポレオンじゃ!なんて興奮していたらイントラが必至で指をさしているものに気づかずにいました。ものすごいでかい目標物なのに、視野に入っているのに気づかないなんて。完全に判断能力が低下している証拠ですかね。(水面下、水深が深くなればなるほど判断能力が低下していきます)

なんと、私が見逃していたのはコレです。そう、戦車。


こんなにでかくて、そのまんまの形をしているのに気づかなかった自分に驚きました。


逆のサイドには重なり合う二台の戦車があります。手前には朽ち果てたトラックがあるのが分かりますか。


手前のトラックだけを別アングルから。


デッキの下にもトラック。ハンドルがはっきり見えます。


戦車をもっと見ていたかったのですが、いかんせん12分間という限られた時間。イントラのお気に入りの船首に移動します。

確かに、すごい。富士川丸が有する大砲よりもっと重厚な造り。下の円盤状のもので方角を決めて発射するのでしょうか。


後ろを振り返ればマストがそびえたっていました。


マストに帆を巻き上げるウィンチかな。それとも碇用?
まだら模様の魚が群れていたのを撮影したら思いの外うまく撮れてお気に入りの一枚。


イントラのシンディさん。(イギリス人)


写真にあるように、小型のタンクを脇に抱えて一緒に潜ってくれるのでもしもの時のバックアップ用のエアも安心。また、船からももちろんバックアップ用のエアタンクをぶら下げてくれます。今まで私が利用してきたどのダイビングショップよりも安心感があります。ただ、それと引き換えに厳しいですので、ビシバシと怒られます。個人的には何も言わないダイビングショップは安全面でどうかなと思うので口うるさいぐらいが安心ですね。

エグジットして船に戻るとなんと我々の船の後ろにはぞろぞろと船が連なっていました。


これを見たイントラのシンディさんが「ごめんねー!今日のベストサンフランシスコは終わっちゃったぁ〜!エイにナポレオンに最高のビジビリティ!もう、君らにはどれも残ってないわよッ!」なんて吠えていました。でも、ほんとにそうだと思います。早起きしてよかった。

二本目は飽きるぐらい潜った富士川丸でしたが、「何か見たいものある?」と聞かれて「富士川は全部見たし…」なんて偉そうなことを言うと彼女に火がついたようで。

「知らない富士川を見せてあげる。」なんて。

エントリーからいきなり船底へ。こんなところに穴があったんですね。


同じ穴の内側からの写真、爆風のため内側に鉄板が曲がっているのが分かりますか。外から爆弾を打ち込まれたのが分かる一枚。


こっから先は、完全にもうテクニカルなダイビングで、写真を撮る余裕も撮れるほどの光量もなかったです。ただ、今まで潜った富士川で一番興奮しました。小さな窓一つ分ほどの隙間をぬって入り込んだ場所がすごい小さい小部屋で、その部屋の中も障害物だらけ。障害物のそれぞれが船の機材だったりするからいちいちライトをつけて入念に観察をさせてもらいました。


50メートルも潜った後にこんなに水深をとっていいのかってぐらい水深をとっていましたが、ナイトロックス(酸素が多めのエアで窒素の影響が少ない)を使わせてくれたし、水面休憩も長かったし特に問題なく帰ってこれました。

何度潜っても新しい発見がある。富士川丸、やっぱりすごいです。

あ、そういえば富士川丸にエントリーした瞬間に馬鹿でかいバラクーダに出会ったのでおまけに載せておきます。


2013年5月7日火曜日

チュークの時間。

最近は帰国も近いのでシャッターチャンスを逃さぬよう学校にカメラを持っていくようにしています。朝からパシャパシャと写真を撮りまくっていると…
幼稚園の生徒がうさんくさい顔で、何かをかくしています。どうやら後ろに何かあるみたい。


彼の後ろに隠れていたのはクラスで一番の悪ガキでした。
(この時点では彼はまだ僕にばれていないつもりです)
頭隠して…ならぬ、お尻隠して頭隠さず。

目と目が合っている時点でもう見つかっているということに気づきなさい。


週末にJEEP島で日本からの観光客と話をしていると、自分のここでの生活が驚くほど特殊だということに気づきました。だから記録しておこうと私にとってはもはや驚きもしないチュークの日常の一コマもご紹介しておきます。

例えばこんな光景。


何をしているか分かるでしょうか。

これは、学校に来て、先生がくるのを待っている子どもたちです。それぞれ教室の鍵は担任が持っているので担任が来ないと子どもは教室の外でこんな風にして待ちぼうけをくらうのです。(あと、校長も各教室の鍵を持っているんですが、担任より校長の方が先にくることはまずないので…)

でも、この状態をみて「先生が時間に来ないなんて!!」とか、「子どもの学習時間をなんだと思ってるんだ!」なんて指摘はナンセンスだと思うんです。もちろん、来た頃の私だったらそう思っていたでしょうけど、今では全く違うんですな。

ここ(チューク)にはここ(チューク流)の時間の流れがあるのです。

時計なんかなけりゃいいのに。って最近よく思います。
そんなのなくても朝は来るし、夜も来るのになぁ。


写真はマングローグバー(トラックストップホテル内にある海上バー)からの夕日。
時計のない世界では一日の終わりの合図です。

2013年5月1日水曜日

帰国間際の憂鬱。

五月になりました。ついに「来月には日本」というところまできましたよっと。

帰国直前の人ってどんなことをしているのかなって疑問に思う方もいるかと思いますが、最近はもっぱらお勉強をしています。らしくないですが。

専門教養・一般教養・教職教養

そう、教員採用試験に向けてのお勉強です。自慢ではないですが集中力が全くなく、根性もこれっぽっちもなく、努力という言葉が誰よりも似合わない私。これまでも座学はからっきし駄目だったんですね。最後にまともに勉強らしい勉強をしたのは小学校六年生の頃でしょうか。でも、最近はもっぱら勉強を楽しんでおります。

なんたって退屈なんでね。思うに勉強なんてのは暇つぶしにやるぐらいがちょうどいいんでしょう。特に、教職教養なんていままでまともに勉強してなかった分、新鮮で面白い。

ところで、教員むいてねーなぁ。ってじわじわと思うようになってきました。かといって現状で他に何かある訳ではないのでこのままいけばまさに「でもしか教師」ですよね。実際、教師ってのはやりたいことに近いものではあるんですが、なんかちょっとずれてきているんですよね。路頭に迷っている感じで三十路間近の人間の発言としては実に痛いです。まあ、なんの算段もなく不用意な行動をとるのはアホらしいのでもやもやしている間はもうちょっと自分の中で熟成させてたらええんかもしれません。なんにせよとりあえず帰国してすぐの採用試験をパスするのが当面の第一目標。やれることはやろう。

後は、勉強の合間にせっせとウクレレを弾いています。隊員生活の後半、やたらとウクレレが楽しくなりまして今は替え歌じゃない完全自作バージョンの「チュークの歌」を完成させるため目下奮闘中。コード進行を作るためにちょっとだけ音楽のことを勉強した(ネットで拾える程度の知識ですが)のですがいろいろ調べれば調べる程に音楽ってすごい計算されたものなのね。ただただ感動いたしました。世の中知らんことばっかりだなぁ。