2011年10月29日土曜日

清澄丸。(水中写真の撮り方:フラッシュ編)

フラッシュの使い方がやっと分かってきました。
実はこのチュークにくることが決まってからせっせとフラッシュを調達したものの今までよく使い方が分かっていなかったんです。まあ、それもそのはずで年末年始にインドネシアに行った(過去記事:御来光)時に一度試しで使ってみたものの、なんの知識もなしにチュークに持ってきただけですからね。

ちなみに、こんな感じでセッティングするんです。
私が使ってるのはSEA&SEAさんのDX-2Gっていうモデルに、ワイドレンズを付けて、YS-17っていうフラッシュとYS-110αっていうフラッシュをアームでつないで固定しています。


普通はカメラのレンズのすぐ真上にフラッシュがついているので、フラッシュを使って写真をとると、水中に浮遊しているゴミが映り込み被写体が見えなくなってしまうのです。ただ、アームで別の角度から光を照射すると浮遊物が映り込まず、また光量も強いので、被写体の色が綺麗に出ます。

そもそも、何でフラッシュが必要なのっていうと、水中は光が届かないので色が認識できません。下にいけばいくほど、全てのものが青くなっていきます。ただ、そこにちゃんと光を当ててやるとそれそのものの色がちゃんとあるんです。たとえば、ニモで一躍有名になったカクレクマノミちゃんも写真とかですっごいオレンジ色になってるのはフラッシュによるもんなんですね。

初めてカメラを買ったときのクマノミちゃんの写真。【沖縄:慶良間諸島?】
なんか小汚い色をしてるでしょ。まあそもそもぶれぶれ。この頃は水中で自分の体勢を維持するのに精一杯やった頃なのでまともに写真が撮れていませんがね。


ほんで、それから数ヶ月後にちょっとカメラの使い方が分かったときの写真が次の二つの写真。綺麗なオレンジに発色しているでしょ。この頃はまだ外付けのフラッシュを持っていなかったのでカメラの付属のフラッシュを使ったのですが、浮遊物が映り込んでいないのはたまたま慶良間がバツグンに綺麗な海であり、被写体までの距離が近かったからです。



ただ、沈船ダイブとなるとそうはいきません。チュークの海でもし普通に魚を見るためのダイビングすると慶良間より綺麗な海なのですが沈船があるエリアはある程度の浮遊物があります。それにそもそも被写体がものすごく大きいのでワイドレンズを付けているとはいえ、レンズからの距離があるので大量の浮遊物が映り込みます。また船の中に入り込んだりしたらそもそも完全な真っ暗闇ですので色が出ないどうこうではなく、フラッシュがないとそもそも撮影不可能です。

ほんで、前から試行錯誤を重ね研究をし続けていたんですがこれがまた難しいんですね。でも、今日ついに発作的にコツを掴みました。

これが今日、コツを掴んだ瞬間の写真。
機関銃の根本あたりの色が出ているのが分かるでしょうか?その場所以外は全体が青みがかっているのに根本部分だけ色味がありますよね。これがフラッシュの力です。



今まで、フラッシュで全体を照らそうとしていたから光が拡散しちゃって色を留められなかったようなんですね。だから、ちょっと光を焦点化してみました。

そしたらなんと今まで撮った中で一番綺麗な写真が撮れました。どうですか、これ。一ヶ所に焦点化することで真っ暗な船の内部にも関わらず完全に本来の色が表現出来ているでしょ。これを印刷したポストカードを見たことあるんですが、自分で言うのもなんですがそれよりたぶんこの写真の方が上手いこと撮れてます。富士川丸に潜ったとき、零戦の格納庫でも同じのを前に見たから多分これも戦闘機のコクピット用のマスクかな。
深い海の底、青みを帯びた世界でみていると全ての時間が停止しているかのように錯覚するのですが、色が出てくると突然時間が動き出したかのように寂しさと同時に悲しみを感じます。


上の写真ほど改心の出来ではないのですが、少しコツを掴んでからは真っ暗闇の中でもフラッシュを工夫していけば写真をとれることが分かってきました。


この自転車なんかは、もうほんとに電気を消したら上も下も右も左も分からないような真っ暗なところやったからカメラで見る限りなんも映ってなかったんですが、パソコンに転送してチェックしてみると一応ぎりぎり映ってました。(ちょっと画像編集したけどね。)


船の上に生活用品が散らかっていたのでフラッシュなしで撮ったんですが、これを見てもらうと青みがかかっているということの意味がよく理解できると思います。


ただ、青みがかかった写真も水中写真らしくて私は好きですけどね。特にこんな魚影なんかは青い方が神秘的です。


最後になりましたが、今日潜った沈船の名前は「清澄丸」と「平安丸」。平安丸の写真はこの前(過去記事:第八週目。)アップロードしたのでそちらを確認してください。

最近は水中〝でも〟使えるカメラが流行っていますが、あれはオススメできませんね。ハウジングなしの水中用カメラはレンズが飛び出てこないようになっているので写りがイマイチの上に、水中で使えるという驕りのためによく壊します。チュークの先輩隊員もシュノーケリング中に手から滑らせて落として水没させていました。

防水カメラと通常カメラ+ハウジングは意外と知られていないんですが最近では値段もかわらんので、安いけどそこそこのカメラ(防水じゃないやつ)とそれなりにちゃんとしたハウジングを合わせて使うことを強くオススメします。

ちなみに、チュークの同期隊員に私がすすめて彼が買ったのはCanonのIXY 210F(1万円弱)そのハウジング(一万八千円弱) のセット。





多分、現行のものでこのセットに勝るコストパフォーマンスのものはないと思います。
大洋州に派遣が決まったみなさん、水中カメラは重宝しますよ。

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