活動の片手間程度で教えてた日本の歌だったんですが、気づけば歌詞も覚えて上手に歌えるようになってきたんです。だから中休みにビデオでも撮ってやろうかなと思ってカメラを設置したんですよ。そしたら、みんな大喜びするのはいいんですが、興奮状態になってしまい後から来た体の大きい女の子が場所をとろうとして小さい男の子を叩いたんです。小さい男の子は泣き出して、女の子はそれでも謝りもせずへらへら笑っている。このタイミングで「なんで友達が泣いてるのに、君は笑ってられるの?ちゃんとまずは謝りなさい」と言ったのですが、女の子は興奮冷めやらぬ様子でまだふざけている訳です。それを見た男の子は悔しかったのでしょう、涙を拭った男の子は手をワナワナと怒りに身を震わせていました。
すると、次の瞬間に男の子が足元にあったデッカイ石を持ち上げて女の子にぶんっと投げつけました。それはないやろってぐらいの大きさの石、ちょうど私の握り拳一個分ぐらいですかね。
女の子と男の子の間ぐらい、ぎりぎり手が届かないところに私は立っていました。男の子の投げた石はちょうど女の子の顔をめがけて飛んでいきます。女の子が避けれたとしても、その後ろには何も知らずに遊んでいる子どもがわんさか。
さて、このシチュエーションはどうしたものか。
ちょっとこれはやばいな、と思った瞬間に反射的に体が動いていました。手では届かない距離だったので石の軌道にあわせて自分の左足をあげ石を蹴り落としそのまま二人の子どもをどっちも捕まえて教室に連行。
いやぁ、我ながらアクション映画さながらとまでは言わないまでも、なかなかの動きをしたとこれは自分で自分を褒めてあげてもいいと思います。もちろん見ていた生徒はスタンディングオベーション。ものの数秒ぐらいだけ空手やっててよかったなぁと思ったんですが悲劇はそこからでした。生徒をとりあえず教室にいた別の先生にあずけ、落ち着いたんですね。興奮が冷めアドレナリンがおさまるや否や、ものすごい痛みが襲ってきました。そして、焼き餅の如く膨らみ始める足。
ぐおぉぉぉぉ。
よく考えたら石を受けた場所、ほぼ弁慶の泣き所な訳ですね。まあちょっとそれより下やけど。でも、ちょっとこれはいいチャンスやと思いまして、喧嘩した二人を呼んで話をさせてもらいました。鉄は熱いうちに打てというか、ほとぼりが冷めるまでが勝負ですからね。この前に動物に子どもがすぐに石を投げたりすると書いたんですが、人間に対しても一緒なんです。自分が起こすアクションに対して何が起こるかを考えないからびっくりするような石を持ち上げて友達に投げつけたりするんです。そして、その結果が今まさに目に見える形になって私の足にあるわけで。血の滲んだ足、ぷっくり腫れ上がった足。それを見せて子どもに話をしました。石を投げたらどうなるか、どんなに怒っていてもやってはいけないことがあるということをね。ただ、理由なく投げた訳じゃないので原因になった女の子にもそもそも最初友達を叩いてしまったときに謝っていたら石を投げることもなかったんじゃないかという話をしました。
怒って話したわけでもなくゆっくり話したのに、二人の子どもは冗談かのようにボロ泣き。鼻水をじゅるじゅるにして泣きながら話を聞いてくれたのできっと分かってくれたのでしょう。めでたしめでたし。
その後はスナックバー(売店)の飲み物を冷やしている氷をもらって足を冷やしたらだいぶん良くなりました。奥の方がずーんずーんと痛むので一抹の不安はありますけどね。
私たちの隊次からJICAからの出国時の医薬品の支給が一切なくなったのでこういうときは正直かなり困ります。確かに人によっては全然使わないこともあっただろうし、また無駄になっていた国や地域もあったかと思います。そんで削るなら全員一律で支給を止めるのがフェアだという判断なのかもしれませんが、一律で何かをすることがフェアだという考えはこれだけ国も違うし、要請内容も違えば治安も医療事情も違う協力隊に関してはそぐわない考えだと思います。
少なくとも、自分たちの州(といっても実際は他の州とは海で隔絶されていて別の国のようなもの)にはJICAの事務所もなければ、ドミトリーもありません。つまりは何かあったときに公式に駆け込める場所はないです。そして、病院はといえば現地人すら利用したがらないようなレベル。救急車なんてたまに走っていますが実質死んだ人を運ぶので霊柩車になっています。先輩隊員はチュークの場合は注射器まで支給されたよ、といって見せてくれました。もし、病院にいかなきゃならなかったときに、これを使ってくださいというためのシロモノらしいです。
まあ、いいんだけどね。でも正直なところなんだかなぁーって気持ちはしますね。
たとえば、薬だけじゃなくドミトリーについてもそう。ドミトリーっていうのは隊員連絡所みたいなところで、必要であれば宿泊もできる隊員同士が集合できる場所。まあゲストハウス的なもんを想像してもらえばよいかと。ミクロネシアは4州ありまして、現状は首都であるポンペイと、石貨で有名なヤップにだけドミトリーがあります。昔は実は4州全てにドミトリーがあったそうです。まあ、実質4州全てが別の国みたいなもんやし、行き来するのにも飛行機を使わないことには出来ないこととかを考えるとそれも別におかしくはないと思うんですが、そこらへんは予算の都合とか他の国との兼ね合いもあるんでしょう、縮小しろとの流れになった。それは理解できます。でもなんでチュークなのっていう話ですね。その当時、チューク隊とコスラエ隊は数が少なかったらしくドミトリーがなくなったと聞いていますが、数の問題なんでしょうか。事務所のある首都隊員は事務所で集まろうと思ったら集まれるし、ヤップも安全な州だから集まるのに苦労しないでしょう。何よりこの2州にはタクシーがありますからね。まぁ首都は何かと使い道があるとおもうのでよいとしても何故ヤップなのか。人がたくさんいる州ということはそれだけ安定性のある州な訳ですよね。要請を受けられるだけの。事実、ヤップ隊員すらヤップのドミトリーをチュークに移したらいいのにと言うぐらいなんですから。道もぐちゃぐちゃ、治安も悪い、集まれる場所なんて皆無に等しく、集まれる場所が確保できたとしても移動手段がないチューク。
まあ、いいんだけどね。でもやっぱりどう考えてもなんだかなぁーって気持ちは拭い去れませんね。
足がずきずき痛みます。
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