2011年9月8日木曜日

怒り方。(新卒の教師隊員にオススメ!)

一昨日にしこたま怒ったからでしょうか、昨日と今日と二年生が少し協力的でした。
教員経験ない同期隊員もけっこう世界に散らばっているとおもうのでちょっと先輩ぶって自分の怒り方をアドバイスがてら書き留めておきます。といっても自分もしょぼしょぼですけどね。日本で自分の母国語ですら怒るのって難しいのに、多言語で怒るのはとんでもなく難しいですよね。

以下、記憶をたどって自分が怒ったときの言葉。


先生は悲しいよ。とてもとても悲しい。
なんでか分かるかい?

先生はこの国が大好きやし、このクラスが大好きなんです。でも、このまま君たちがかしこくできひんのやったらこのクラスのことを嫌いになってしまうかもしれへん。だからとっても悲しいんだよ。この国とこのクラスを嫌いになってほしい?先生はそうなりたくないな。

いつもぺちゃくちゃしゃべっていて、いっつも先生に怒られてばっかりやったらきみらは楽しいかなぁ?幸せかなぁ?ちゃんと勉強時間は勉強して、先生もいつもニコニコ、休み時間には外でみんな仲良く遊ぶのとどっちがいい?

先生はチュークに何できたんですか?きみらと遊ぶため?
遊ぶのは好きやし、楽しい。でも、今この瞬間に遊びたくはないなぁ。

明日、かしこくできますか?
先生は君たちを信じたいと思います。
信じていいですか?先生のことを助けてくれますか?
じゃあ、明日からまた信じたいと思います。


このぐらいが自分の今のチューク語でスピーチする限界です。

少ないボキャブラリーで話をするのはゲームみたいで面白い。自分の言いたいことがはっきりとあって、それを表現するために自分の頭の中にあるボキャブラリーで別の言い方、別の伝え方をせっせと探す。どう伝えるのが一番効果的か、どこを強調すべきか。また、同じような意味の言葉がたくさんある中で、この国の文化に合うものを取捨選択していく。

例えば、ここでは「悲しい」という言葉を使ったが、これは「怒っている」と言うよりこの国の場合効果的。「怒っている」という言葉を聞いたとき彼らは「叱られる」だとか「叩かれる」といったことを連想をし、教師の怒りから逃げることばかりを考え出す。だから、回避のための方法として何かアクションをおこすが反省からはかけ離れていく。その点「悲しい」と伝えると彼らは「どうして?」と理由を考え出す。そして、(キリスト教的な考えも多分にあるんだと思うが)それを助けるための方法をせっせと考えはじめる。それは同時に、自分たちのせいで他人を「悲しませている」という思いにつながり彼らも少し寂しくなるのである。これは反省だと言ってもいいと思う。
そして、その反省を続けさせるためには意図して子どもが紡ぎ出した答えを裏切ってやる必要がある。「どうしてか分かる?」と聞くと、子どもは口をそろえて「うるさいから?」「かしこくできないから?」と言う。確かに直接に言えばそうなのだがそれで「そうだ」と言ってしまえば子どもからすれば結局先生が「怒っている」のとそう変わらない。子どもの解決策は「ごめんなさい、これから静かにします。」で終わってしまう。だからどうするか。理由をつくってやらなければならないのである。どうして、静かにしないといけないのか。うるさいのの何がだめなのか。そして、どうして悲しいのか。そこで、「この国とこのクラスが好きだから。このまま(この状態が続く)やとそれが変わってしまうよ。」という理由を言う訳である。そして、それを望むかどうかを聞き、それに対する自分の同意を伝える。ここで子どもと自分の向かうべき道がはじめて同じ方向を向くわけなんですな。
なんで授業中にしゃべったらあかんのやろ?っていう理由が最終的に先生が自分たちのことを好きやからやっていうトリックですね。ほっこり終われるでしょ。

まとめると、
その国の文化(特に宗教特性)を理解して。
かっこいい言葉を無理に使おうとせず、単純な言葉で。
高圧的に話すのではなく、あくまで意見はみんなで作る。
考え続けさせることが大事。だから自然に疑問文は多め。
言いたいことを明確に伝えて、着地点をはっきりとさせる。
ゴールは自分の意見と生徒全体の意見の一致。自分をも含む全員が納得。
最後はポジティブな言葉で締める。


偉そうにかきましたが自分も毎日なかなか苦労しております。
指導方法なんか人それぞれなんで。
日々みなさん精進しましょう。

8 件のコメント:

  1. 日本人を怒るのも難しいと感じる今日この頃。明後日は体育大会です。

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  2. >シコリタイスさん
    ばしばしに怒る練習しとけしとけー。日本カエリタイス。

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  3. 悲しいなど自分の感情を伝える方法はコーチングの手法の一種です。それはだめだというよりもそれをされて自分は悲しいと伝える方が伝わりやすいんです。
    褒めるときも同様らしいです。いい行為を見て「それいいね」というよりも「僕はそれをしてくれて嬉しく思ったよ」と言う方がとても効果が大きいらしいのです。自分もよくこれを使ってます!

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  4. >しましょ。
    自分もだれかにコーチングされたいっす。
    もうつかれたっすー。

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  5. かっこいい!

    日本でも海外でも、怒るのって信頼関係がないと、なんの効果もないですよね。

    頭の中であれこれ考えながら言葉を選んでいる広大さんの姿に、生徒は信頼感を得るのではないかと思いました。

    参考にさせてもらいます◎

    ほかの記事もおもしろい~!
    いつも楽しみながら読んでます、ありがとございます^^

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  6. >いくみん
    うむーん。信頼関係は大事やね!厳しくはあたっても、子どものことをうらぎらないようにだけは日々意識して活動したいもんやねー。子どもは敏感やから浅はかな考えはすぐばれるからな!
    書きなぐってるだけやから参考になるかはしらんけど、そう言ってもらえるとうれしいです。

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  7. しもぴー@クワジェリン2011年9月22日 20:20

    こうだいさーん、隣の??クワジェリンのはげぴーですー。
    すっごく参考になりました!
    新卒・かつ工学部卒の私は、
    2週間前:怒鳴る
    1週間前:気持ちを訴える
    といった作戦を用いましたが、未だ成功には至っていません。
    来週は広大さん手法を使わせていただきます!

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  8. >はげぴーーーー
    うまくいかんかったらごめんね。
    というかはげぴーという名前がすでに懐かしいというね。

    マジロは今度広域研修でいくぜーー。

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